2025山形県/蔵王温泉 蔵王の山を制覇する3泊4日スキーキャンプ

「もう、一人で行けるよ!」

そういって、子どもは振り返らずに自分の力で雪の斜面に進んでいきました。リーダーは少し距離を保ちながら、その後ろ姿を見守っていました。

これは34日の蔵王スキーキャンプの最終日、子どもたちの口から自然と出てきた言葉です。キャンプにおける数日間の子どもの成長には、目を見張るものがあります。リーダーの心配が時にはおせっかいに変わるくらい、ぐんぐん成長していく子どもたち。初日にはリーダーの手を頼りに雪の上に立っていた子どもが、自分の判断で前に進もうとする姿が、そこにはありました。

20251226日から、山形県蔵王温泉スキー場にて「蔵王の山を制覇する34日スキーキャンプ」を開催しました。48名の子どもたちと10名のリーダー(学生リーダー8名、社会人リーダー1名、サポートスタッフ1)、総勢58名。

大規模なプログラムとしてスタートした蔵王スキーキャンプですが、年齢やスキー経験は様々。初めて雪山に訪れる子もいれば、滑走経験豊富な子もいました。そんな中で共通していたのは、4日間を仲間と共に過ごし、挑戦する時間が用意されていたことです。

 

キャンプシップアカデミーのスキーキャンプは、生活班とスキーレベルごとに組まれたスキー班に分かれ、リーダーが日常生活と滑走の両面を支えながらプログラムを進めます。安全管理を最優先としつつ、子ども自身が考え・選び・行動する場面を意識的に取り入れた、濃密な4日間を過ごすことができました。

 

1日目:出会いと不安の中でのスタート】

初日は早朝の集合と長時間の移動から始まりました。初対面の子どもも多く、新幹線の中は緊張した表情が目立つかと思いきや...。みんな驚くスピードで打ち解け、あっという間にみんな仲良しに。

親元を離れる不安や慣れない長時間の移動、そんなリーダーたちの不安をよそに、ワードハントやお菓子タイムを楽しんでいました。新幹線の降車駅に到着した際には「え?もう着いたの?」と言う声がちらほら。長時間の移動を苦に感じさせないほど楽しく、あっという間な移動時間だったようです。


駅からはホテルまではバスで移動しました。蔵王温泉スキー場に到着後、一番最初にみんなが揃って声を上げたのは「雪だ~!」

想像以上の吹雪に子どもたちは大興奮。リーダーたちはいきなりの吹雪に苦笑い。バスから宿に荷物を運ぶのも一苦労、これは時間がかかりそうだな、と思ったその時。「皆でやれば早く終わるぞ!行くぞ~!」と小学校中〜高学年の男の子を中心に、一斉に寒い雪の中に飛び出しリーダーを手伝ってくれました。それを見た女の子や低学年の男の子も次々に「自分もやる!」とお手伝いに。初日からこの団結力には驚きました。みんなありがとう!

昼食を食べて、”キャンプシップチェックイン”と題したオリエンテーションを実施。キャンプシップでの約束や安全面について説明し、生活班やスキー班についての確認も行いました。以前キャンプシップに来たことがある子の中には、キャンプシップでのルールをしっかり覚えている子もいました。

 

〈キャンプシップでのルール〉

  1. 助け合い Help each other
  2. いかなる暴力も禁止 No Violence
  3. 働かざる者食うべからず No work, No food

 

ついにスキー開始!スキーの経験がほとんどない子どもたちにとっては、道具を見るだけでも緊張が高まる場面でしたが、蔵王温泉スキー場のコーチの方々やリーダーが実際に装着を手伝い、手順を一つずつ確認することで、少しずつ表情が和らいでいきました。この日の滑走は短時間にとどめ、雪の感触に慣れるということを目的としました。転ぶことを怖がる子どももいましたが、「今日の目標は雪に慣れること」という共通認識を持つことで、無理のないスタートとなりました。

 

夜ごはんは初日から大盛り上がり。即興お絵描き選手権(Drawing Competition)が開催され、生活班ごとに協力して一つの絵を完成させました。お題は”サンタクロース”、優勝チームにはお菓子パーティーの権利が与えられます。もちろん、チームリーダーズも参加します。清純派サンタからかなり個性的なサンタまで、たくさんのチームの芸術センスが試され、終始笑いに包まれていました。優勝は年長女子チームのサンタクロース(写真左上)!この時間でチームの仲と団結力がぐっと強くなった気がします。

 

2日目:挑戦と小さな成功体験】

みんなで迎える初めての朝。ここでは”リーダーシップ賞”が発表されました。リーダーシップ賞とは、集団生活において自ら進んでリーダーシップを発揮したり、逆に仲間のために目立たないポジションで支えたり、様々な視点で活躍しているな!とリーダーたちが判断した子に贈られる賞のことです。キャンプシップに初めて参加する子どもたちは、初めてこの賞の存在を知り、目をキラキラと輝かせていました。今日からのみんなの頑張りや、リーダーシップに期待!

2日目からは本格的なスキーレッスンが始まりました。レベル別に分かれ、それぞれの課題に応じた練習を行いました。初級グループでは、止まる、曲がるといった基本動作に苦戦する子が多くみられましたが、何度も繰り返す中で「一人で止まれた」「転ばずに滑れた」という小さな成功体験が生まれました。

中級以上のグループでは、スピードや斜度への恐怖心と向き合う場面が見られました。リーダーは技術的な助言だけでなく、「失敗しても大丈夫」という姿勢を示すことを意識し、子ども自身が挑戦する判断を尊重しました。

 

夜にはなんと、お待ちかねのナイター滑走を実施!担当班のリーダーと十分に相談し、子ども一人ひとりの体力とスキーレベルを総合的に見て参加を判断し、いざナイターへ出発!

ナイターではある程度一人で滑れる子に絞られていたため、一定の自由度を重視し、滑る本数と終了時間を決め、宿の前のゲレンデを自由に滑ることができました。明るい時間に滑ったゲレンデとは一味違い、人も少なく、特別感のある時間を過ごすことができ、みんな大満足でした。

夜には振り返りの時間を設け、その日にできたことや難しかったことを言葉にして共有しました。自分の成長を自覚する子どもが増え、他の子の話を聞いて刺激を受ける様子も見られました。

 

3日目:仲間意識と主体性の芽生え】

3日目になると、生活面での変化がはっきりと表れました。朝の準備がスムーズになる班、子ども同士で声を掛け合う班など、仲間意識があるな、と感じる場面が増えていきました。スキー場でも転んだ仲間を自然に待つ、励ますといった行動が見られ、集団としてのまとまりが強まりました。

滑走技術においても成長が顕著で、前日にできなかった動きが安定してできるようになる子どもが多くいました。そもそも、前日にできなかったことに自ら進んで挑戦しようという前向きな気持ちを持っていることは、当たり前ではありません。

中には転んで怖い思いをした子もいました。そんな中でもこのスキーキャンプでは、弱音を吐いたり、「もうできない!」と決めつけたり、ネガティブな発言をする子はほとんどおらず、前向きに自分としっかり向き合えている子どもたちがとても多かった印象でした。

リーダーに頼るだけでなく、「次はここを気をつける」と自分で考えて行動する姿も見られ、主体性が育ち始めていることを感じました。

この日は午前・午後ともに検定受験日でした(希望者のみ)。それもあってか、みんな緊張した面持ちを見せるときもありましたが、最終的には楽しんで滑りきることができたようです。

引率したリーダーにとっても、この日は印象深い一日だったように感じます。指示を出す立場から、子どもの判断を支える立場に役割が変わり、関わり方を改めて考える機会となりました。

 

3日目の夜には”キャンプシップパーティー”と題したお楽しみ会を開催!チームごとに協力プレーが必要なゲームに参加して優勝を競ったり、キャンプシップ参加5回・10回記念のプレゼント贈呈式が行われたり盛りだくさん。

中でも印象的だったのは、スキーキャンプ最終日にお誕生日を迎えるお友達のお祝い。明日がお誕生日であることを知ると、みんな一斉にバースデーソングを歌い始めました。リーダーたちがみんなで歌おう!と促したわけでもなく、自然とお祝いムードになって「おめでとう!」という声が飛び交いました。

これまではチームごとの団結力や、一人ひとりの成長にフォーカスしていた部分がありましたが、この時に蔵王スキーキャンプのプログラム全体の一体感を強く感じました。

そして、最後のナイター。元々3日目のナイターは予定していませんでしたが、子どもたちの強い希望のもと、時間や本数を決めて滑ることになりました。この日のナイターも、一人ひとりが担当班のリーダーとしっかり相談のうえ、参加の判断をしました。最後のナイター、思い切り楽しもう!

 

4日目:自信を持って迎える最終日】

最終日はこれまでの成果を確かめる一日となりました。多くの子どもが、初日には想像できなかった距離や斜面を滑れるようになり、自分自身の「できた!」を実感していました。お世話になった蔵王スキー場のコーチにもお礼を伝えました。

長いような、短いような3泊4日が終わり、あっという間に東京に戻ってきました。閉会式では、リーダーから子どもたち一人ひとりに声をかけ、4日間で見られた成長を具体的に伝えました。子どもたちは時折照れた様子を見せながらも、真剣に話を聞き、自信を持った表情を見せていました。ここではリーダーシップ賞の発表もありました。

別れの時間には名残惜しさもありましたが、それぞれが達成感を持って帰路につくことができたのではないかと思います。

 

【総括:4日間が残したもの】

58名という大人数のキャンプ運営は、決して簡単ではありませんでした。34日という長いキャンプに参加を決めてくれた子どもたち、送り出してくださった保護者の方々、蔵王スキー学校の方々、そして臨機応変な対応をしてくれたリーダー含む運営メンバー、この冬の蔵王スキーキャンプに関わってくださったすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうごいました。

 

子どもたちはスキー技術だけでなく、集団生活の中での責任感や挑戦する姿勢を身に付けました。またリーダーにとっても、子ども一人ひとりと向き合い、成長を間近で感じることができた4日間でした。支える側でありながら、多くの学びを得る経験となりました。

 

この蔵王スキーキャンプでの34日が、関わってくださったすべての人にとって、確かな意味を持つ時間となっていれば幸いです。

2025山形県/蔵王温泉 蔵王の山を制覇する3泊4日スキーキャンプ