プログラムを作る上で大切な"出会い"と"感謝"

こんにちは。キャンプシップアカデミー代表の赤木(トム)です。

この仕事を始めてから、”出会い”の貴重さを実感する機会が増えました。理由は、活動を通じてたくさんの人と出会い、その出会いをきっかけに色々な取り組みを実現できているからです。

今回は、キャンプシップアカデミーのプログラムを作る上で欠かせない協力者の皆さんについて、胸の内にある思いを書きたいと思います。

“出会い”はいつも偶然で、その出会いが発展していく瞬間も、ひょんなことがきっかけであることが多いです。キャンプシップの仕事を始めてから、偶然の出会いからブワーッ話が進んでいく体験を何度もしました。

私が初めてお会いする方に「子ども向けに自然体験の活動をやっています」と自己紹介すると、物珍しさもあってか想像以上に共感や興味を示してくださる方がたくさんいらっしゃいます。これは、商社やスタートアップで働いていた時の"出会い"とは大きく異なります。

フルーツ体験プログラムを一緒に作っている信州安曇野フレンドファームの福嶋さんと、地球宿オーナーの増田望三郎さん

 

昨年から一緒にアートプログラムを作っているアトリエmadoさん

 

名草プログラムを一緒に作っている、名草Craftの後藤さん

 

私たちのプログラムは、こうした協力者の方々のサポートに支えられています。

手作りで深みのあるプログラムを作るために、宿泊施設の方、プロのアーティストさん、農家さん、プロのカメラマンさんへの撮影依頼など、協力依頼は多岐に渡ります。

先日、安曇野フルーツ農家体験プログラムでお世話になっている地球宿のオーナー、ボウさん(望三郎さん)より、こんなメッセージをいただきました。

トム、2日間お疲れさまでした。流しそうめん、サクランボ収穫、桃の袋がけ、夜の焚火、田植え、焚火パンと盛りだくさんだったね。子どもたちも楽しかったようでよかったです。 夜にトムがスタッフのみんなと話し合ってるのをみて、自分の20代の頃を思い出したよ。俺も若者向けのワークキャンプを主催してたからね。で、やはりその時もサポートしてくれる人たち、若者を受け入れてくれる農家や実践者たちがいました。今は俺がその立場だなあと思って、トムのやりたいことを存分にできる場をこれからもつくれたらなと思ったよ。ありがとうね、 お疲れさまでした、スタッフのみなさんにもよろしく。

私はこのメッセージを読んだとき、思わず熱いものがこみ上げてきました。大袈裟ですが、「この仕事をやってきて良かった」と心から思った瞬間でした。

私たちの「やりたい」を実現するために、地球宿の方々には流しそうめんの準備やパン作りの指導、子どもたちの送迎など、多大なるサポートをいただきました。(地球宿のみなさん、本当にありがとうございます!)

普通のお宿が提供するサービス以上のサポートをいただけるのは、ボウさんの人柄もあると思いますが、「子どもたちに良い体験をして欲しい」という共通の思いがあるからだと思います。

季節ごとに様々なフルーツ農家体験をさせていただいている、信州安曇野フレンドファームさんも、「子どもたちに本物を見て味わってほしい」という思いが重なり、大変な中でも子どもたちを受け入れてくださっています。本当に、感謝しかありません。

また、プログラムに参加したある保護者の方から、次のようなコメントをいただいたこともあります。

個々のイベントが楽しかったのはもちろんのこと、地元の方との交流や生き物の話も多く、親の目を気にせず、自由な状況でのびのびとさせていただけた事も良かったと思っております。

プログラム中に用意されたアクティビティだけではなく、共同生活をする中で生まれるコミュニケーションや、ふとした瞬間に好奇心の芽が出る瞬間(例えば、田植えをする途中で発見したカエルに夢中になるなど)こそが、”プログラムの深み”に繋がるのだと考えています。

このように、主催者である私たちの思いと協力者の方々の思いが重なることで、良いプログラムが生まれること自体は素晴らしいことですが、気をつけなくてはいけないこともあります。

 

それは"体験が消費活動にならないようにする"ことです。

 

パッと現地に現れて、やりたいことだけやって、そそくさと帰る。ともすると体験する側にとってはそれで良いかもしれません。

しかし、受け入れてくださる方々にとっては、その場所に日々の生活があり、リズムがあり、人間関係や社会があります。

訪れる側の私たちが、そういった守るべき大切なものを無視して、体験を消費して良いわけがありません。こちらがそういう態度で臨むと、思いが重なるどころか、持続可能な取り組みではなくなってしまいます。

 

では、お邪魔する側である私たちにできることは何でしょうか?

 

それは、まずなによりも"感謝"の気持ちを忘れないこと。そして、協力者の方々への"配慮"を怠らないことだと考えています。

体験を受ける「客」としての態度ではなく、「一緒に活動させていただく仲間」や「無理を言ってお邪魔させていただいている」という意識があるだけで、体験に臨む態度は変わります。

声掛け一つとっても、ちょっとした気遣いができているか、という点を協力者の皆さんは見ています。

子どもたちにそういう部分を理解してもらうことは簡単ではありません。むしろ、子どもたちにそこまで理解するよう求めるのは違う気もします。

そこにいる全員が気持ちよく活動に臨めるよう、事前にしっかりルールを決め、その中で子どもたちは思いっきり楽しむ。そういう準備を周到に行うことが、私たち主催者側の責任であると改めて感じています。

キャンプシップアカデミーのプログラムは、決してパッケージツアーではありません。自分たちで考えて動く「余白」を大切にしながら、地元の方々との交流や仲間と共に生活するということも含めて、「意味のある体験」を作っていきたいと考えています。

まだまだ至らない点ばかりですが、持続可能な深みのあるプログラムづくりをこれからも挑戦していきます。

キャンプシップアカデミー代表
赤木努

プログラムを作る上で大切な"出会い"と"感謝"